ロンドン五輪の男子20キロ競歩に藤沢勇選手(24)=ALSOK=が出場した5日未明、出身地の中野市新井では家族や住民ら約60人が新井公民館に集まってテレビ中継を見守った。藤沢選手が順位を上げるたび会場の熱気が高まり、最後は「頑張れ、頑張れ、勇」と大合唱に。メダルや入賞は届かなかったものの、日本の3選手中トップの18位に、住民らは「おめでとう」「日本一」とたたえた。 父親の一(はじめ)さん(54)は「これまで応援に行くと成績が良くなかったから」と藤沢選手を気遣い、地元で声援を送ることに。最前列に陣取り、孫の活躍を見せようと、傍らに5月に78歳で亡くなった祖母カナエさんの遺影を置いた。 レースは5日午前1時にスタート。序盤は、後方に付けていた藤沢選手の姿がなかなか映らなかったが、藤沢選手が少しずつ順位を上げると住民らから大声援が起き、一さんは涙を拭いながら画面に見入っていた。 一さんは「初の五輪で日本選手トップでゴールしてくれたことを誇りに思う。次につながる結果だ」と話した。 藤沢選手の妹で、山梨大4年生のひかるさん(21)=甲府市=は「後半どんどん順位を上げてゴールしたのは、我慢強いお兄ちゃんらしい」と感激した様子で、「とても輝いていて格好良かったと伝えたい」。テレビ観戦を企画した「藤沢勇選手を応援する会」会長の藤沢英範新井区長(58)は「諦めないぞという気持ちが画面を通して伝わってきた」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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