県内の山岳・高原の環境整備や保全などの費用負担の在り方を検討している県の有識者会議「地方税制研究会」は19日、県庁で開き、「入山税」を含めて税徴収の環境は整っていない―との方向で報告書の取りまとめに入った。本年度中にまとめ、阿部守一知事に提出したい考えだ。 青木宗明座長(神奈川大経営学部教授)が骨子案を提示。遭難防止、登山道整備、山小屋トイレの経費は登山者の受益が明らかで「負担をお願いすることは可能」とした。だが、現状は登山道整備などの県の取り組みが不十分で税負担は求められないとした。 遭難救助は、あらためて「国民の身体的安全に関わる行政経費」とし、遭難者に特別な費用負担を求められないとした。一部委員は、山岳は日常生活と懸け離れた場所でもあり、負担を求めるべきだと反論。「求めないなら、民間ヘリが出動した場合も県が負担するべきだ」と述べた。 骨子案には、標高の高い山岳部を対象とした「入山税」ではなく、観光客らに広く負担を求める「山と高原の魅力を高める税」の導入についても盛り込んだ。ただ、同税についても、税導入の前提条件となる行政サービスの検討を始めたばかりで、「とても税を負担いただけるような状況にはない」とした。導入する際は、市町村や山岳関係者、観光業者らのコンセンサスも不可欠としている。 税徴収の環境が整うまでの短期的な対応としては、任意の協力金や寄付金の徴収を提案。使途や徴収方法などの具体的な内容は、市町村や山岳関係者、住民らと協議しながら検討を進めることが妥当としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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