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コメの物語を缶に詰めて 伊那の父娘が無農薬栽培

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 伊那市富県(とみがた)のコメ農家伊東陽一郎さん(81)と長女佳保里(かおり)さん(49)が作る無農薬栽培のコメが缶詰になり、客層を広げている。神奈川県鎌倉市の女性が2人のコメに“一味ぼれ”し、缶詰ブランドの一つに加えた。インターネット通販や雑貨店などで主に贈答用として需要を伸ばし、昨年はフランス・パリの百貨店にも紹介された。  国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「和食」の中心といえるコメ。伊東さん親子は「長野は長寿県として和食の素晴らしさを証明している。和食が広まればコメも広まる」と、今年のコメ作りにさらに意欲を燃やしている。  陽一郎さんは20年以上、有機栽培に取り組み、佳保里さんも10年前から一緒にコメを作っている。冷たい山の水や豊かな土壌、気候を生かし、魚粉や昆布などをまぜた自家製有機肥料を使用。一部の田は農薬を使わずアイガモで除草している。  2人の田は計約7ヘクタールあり、例年約30トンのコシヒカリやミルキークイーンを生産。「米・食味鑑定士協会」(大阪府)主催のコンクールで十数回の入賞歴があり、昨年は国際総合部門で金賞に次ぐ特別優秀賞を受けた。  口コミなどで県内外に顧客が広がり、コメ販売店を通じて1年半ほど前、「プラント・オパール」のブランドでコメの缶詰の販売を構想していた鎌倉市の角(かど)舞子さん(39)の目にも留まった。角さんは「甘さにびっくり。パンチのある味でコメの概念が変わった」と振り返る。  角さんは伊東さん宅を訪れて話を聞いた。「陽一郎さんの、はつらつとした人柄や探求心がコメの力強さに表れている。1人でも多くの人に食べてほしい」と、2012年暮れに山形県4軒、兵庫県1軒の農家のコメ(玄米含む)とともに缶詰6種(一つ300グラム入り、997円)を商品化した。  「コメ作りには吟味された物語がある」と話す角さんは、銀色の缶にそれぞれ生産者名を記す。名古屋市の東急ハンズや東京・青山の雑貨店などでも販売し、保存が利くため贈り物にも選ばれている。  角さんは昨年春、伊東さんらのコメの缶詰をパリの百貨店に紹介。コメ農家のそれぞれのこだわりを聞いた担当者は「ワイン(農家)のようだ」と感想を話したという。パリで販売されるかどうかは未定だが、陽一郎さんは「日本のコメのおいしさを伝えられればうれしい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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