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ササ覆う菅平、高山植物減 「温暖化要因」指摘

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 上田市菅平高原一帯の根子(ねこ)岳(2207メートル)や四阿山(あずまやさん)(2354メートル)の標高1800~2100メートル付近でササが増え、高山植物を枯らしていることが、地元の研究家らの話で13日までに分かった。専門家は「地球温暖化で育ちやすくなったのが要因ではないか」とする。一帯には国内で菅平から白根山(群馬県草津町)にかけての山々と北アルプスにしかいない「ミヤマモンキチョウ」(県版レッドリストで準絶滅危惧種)も生息。高山植物を食べるチョウの減少にもつながるとして、早急な対策を求める声が出ている。  市内で環境保全活動に取り組む清水卓爾(たくじ)さん(73)=上田市上塩尻=は昨年10月、根子岳に登り、標高約1800メートルの植生の様子に言葉を失った。「高校生のころは山でしか見られない植物がたくさんあったのに、今はササばかり」。紅葉して赤いクロマメノキの木を飲み込むようにササが生い茂っていた。ガンコウランやコケモモも見られず、「背が高いササに覆われて枯れてしまった」と言う。  清水さんが高校時代の1956(昭和31)年9月に根子岳に登った際に撮った写真では、ほぼ同じ標高付近でササは見られない。昨年10月には四阿山にも登り、数十年前にクロマメノキが一面に生えていた地帯がほとんどササになってしまっていたという。  筑波大(茨城県つくば市)菅平高原実験センターで長年、菅平の植物を研究してきた同大名誉教授の林一六(いちろく)さん(74)=上田市古里(こさと)=によると、このササはクマイザサで、日本中に広く分布している。  ササの増加の原因について、林さんは地球温暖化を挙げる。長野地方気象台の統計によると、菅平の年平均気温は80~84年に5・82度だったが、2008~12年は6・34度に上昇。林さんは「温暖化したと言える数値」とする。長野大(上田市)環境ツーリズム学部の高橋一秋(かずあき)准教授(43)=森林生態学=は「温暖化で雪が降る時期が遅くなり、解けるのが早くなると、ササは育ちやすくなる」という。  高山植物の減少が、ミヤマモンキチョウに与える影響について、NPO法人日本チョウ類保全協会(東京)会員の清水敏道さん(56)=東御市教育次長=は、菅平の山々での個体数増減は確認できていないものの「クロマメノキの葉しか食べないので、葉が減れば餌も減る」と心配する。  根子岳は、劇作家田中澄江さん(故人)の随筆集「花の百名山」でも取り上げられている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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