文化審議会(宮田亮平会長)は17日、下伊那郡阿南町和合に伝わる「和合の念仏踊り」を、国重要無形民俗文化財に指定するよう下村博文文部科学相に答申した。踊りの所作が芸能的で、地域的な特色や芸能の変遷の過程を示していて重要―との評価を受けた。近く答申通り指定される。 念仏踊りは毎年8月13~16日の夜、地区内の熊野神社、和合を開拓したとされる宮下家、林松寺の3カ所で行われる。太鼓や笛の音に合わせて踊り、先祖の霊を迎えて豊作を願う。町教育委員会によると、1742(寛保2)年に宮下家の15代目、金吾善衡が江戸に免訴に出向いた帰りに川中島(現長野市)で習い、伝えたとされる。宮下家の出身地の遠州から伝わったとも言われている。1972(昭和47)年8月に国選択無形民俗文化財に指定された。 踊りは「庭入り」「念仏」「和讃(わさん)」で構成。見どころの庭入りでは、かさを着けた男衆が輪を作りながら舞う。続いて、竹で作った棒状の「ささら」と「ヒッチキ棒」を手に、2人一組の踊り手「ヒッチキ」が体をぶつけ合う。踊りの後、古老が先祖供養の念仏や新仏供養の和讃を唱える。 今回の答申について、和合念仏踊り保存会の平松三武(みつたけ)会長(67)は「会員らの士気も上がり、祭りへの取り組みもより真剣になる。地域の伝統芸能をみんなで継承していきたい」と話した。 県教委文化財・生涯学習課によると、念仏踊りが指定されると、県内の国重要無形民俗文化財は9件になる。このうち5件が飯田下伊那地方。(長野県、信濃毎日新聞社)
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