県内で遺跡内における無届け公共工事が相次いでいるのを受け、県教委は8日、松本市で開いた市町村の埋蔵文化財担当者向け研修会で、12月から無届けの公共工事が判明した場合は市町村名や事案の内容を公表する方針を伝えた。再発防止が目的で、都道府県では初の試み。 文化財保護法は、地中に土器や石器、遺構が埋まっていると推定される「埋蔵文化財包蔵地」(遺跡)内で工事をする場合は、事前に都道府県教委に届け出るよう義務付けている。だが、信濃毎日新聞の取材で、県内では昨年度までの6年間に遺跡内の無届けの公共工事などが少なくとも14件あったことが判明。うち2件では土器や遺構が壊されていた。 県教委文化財・生涯学習課の阿部精一課長は松本市で開いた研修会で、「(公表を通じて)無届け工事の原因を情報共有し、再発防止に努めたい」と説明。公表の対象は公共工事に限定するとし、「(法を順守する)公共の立場から襟を正したい」と説明した。 研修会では、松本市教委などが遺跡の損壊を防ぐ工夫を報告した。同市教委は、建築確認申請などを受け付ける部署に「埋蔵文化財照会・協議票」を常備し、民間業者が工事予定の敷地の場所や工事概要を記入。市教委が埋蔵文化財の保護が必要かどうかを回答し、無届け工事を抑制しているとした。 長野市教委は2010年4月に遺跡の場所を示した地図を市ホームページで公開。民間工事の事前届け出が増え、「埋蔵文化財の保護につながった」とした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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