木曽馬を飼育・保存している木曽郡木曽町開田高原の「木曽馬の里・乗馬センター」で24日、かつて地元で行われていた馬で木材を運ぶ「馬搬」の公開練習会があった。同センターが呼び掛け、地元の高校生や県内外の林業関係者、木曽馬に関心のある人など10人が参加。センター敷地内で木曽馬に丸太を引かせた。 練習会で使ったのは16歳の雌の木曽馬。センター職員の中川剛さん(36)と地域おこし協力隊の坂下由衣さん(26)が、馬にくくりつけて後方に垂らした鎖に丸太を引っ掛け、引っ張る作業を実演した。木曽町の木曽青峰高校3年、須賀愛佳さん(17)は馬に関する課題研究の延長で参加。手綱を取って馬を引き、「馬の力が強く、操るのが大変」と話していた。 馬搬は全国各地で行われ、開田高原でも昭和30年代ごろまで山から木材を搬出したり、まき用の木を運んだりしていた。同センターは昨年、木材産地ならではの文化と木曽馬保存への関心を高め、地域の活性化につなげようと馬搬復活の検討を始めた。 練習後の意見交換会で、木曽福島林業振興会長古畑富省さん(76)=木曽町=は、馬を操る人の育成といった課題はあるものの、「林業の面で馬搬復活の可能性はゼロではない」と話した。木材の運搬以外の利用方法を考える必要もあるとの声も出た。 センターは今後、地元の子どもたちや高校生も交えた馬搬の普及方法を探る。中川さんは「木曽馬の頭数の増加にもつなげたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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