国内外で医療機器開発に携わる専門家や、地元松本地方の企業などが参加する「第2回世界健康首都会議」が12日、松本市で開かれた。高齢社会で生じる介護費や医療費などの社会的負担を、健康・医療分野の産業創出で解決しようとする松本市や、地元企業などでつくる協議会の主催。行政関係者ら250人余が参加し、産業化に向けた具体的な取り組みの報告などをした。 スウェーデンの研究機関「ロボット・ダーレン」の健康部門責任者、アダム・ハグマンさんは、1人暮らしの高齢者を遠隔操作で見守るロボットの開発例を紹介した。ロボットを実際に市民に使ってもらいながら検証する場を設けたことや、介助者、消費者、支援ファンドも加わった開発の仕組みをつくれたことが成功の要因、とした。 健康医療機器の開発に携わる聖路加国際病院(東京)の宮坂勝之・周術期センター長(元県立こども病院長)も講演。在宅介護で医療機器が生活の一部となる中、「既存技術の小型・軽量化が新機器開発の鍵になる」と説明した。医療従事者と技術者の連携不足、薬品と同じ法律で縛られる医療機器開発の法制度など、現在の問題点も指摘した。 企業の事例発表では、腕時計型の脈拍計を使う「生活習慣改善支援サービス」を手掛けるセイコーエプソン(諏訪市)が、松本市民を対象にした実証実験を検討していることを明らかにした。 協議会顧問の三菱総合研究所(東京)の小宮山宏理事長は「まず行動することが大切。高齢化という差し迫った問題にゆったりしている時間はない」と総括。協議会長の菅谷昭市長は「この地方都市から何かが生まれてくることを期待したい」と述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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