岩手県大槌町(おおつちちょう)の獅子踊りの保存会などでつくる「神の森どろの木プロジェクト」と、上田市国分の信濃国分寺の交流が始まった。ドロヤナギの木で縁があり、プロジェクトは獅子頭に付けているリボン状の飾りに、同寺は厄よけのお守り「蘇民将来符(そみんしょうらいふ)」に使っている。プロジェクトの13人は11日、初めて同寺を訪問。「自生しているドロヤナギが減っている」として、栽培方法を学ぶため東御市和(かのう)の国有林を見学した。 大槌町は昨年3月の東日本大震災による津波で大きな被害を受けた。今春、町内の「臼沢鹿子踊(うすざわししおどり)保存会」(東梅英夫(とうばいてるお)会長)が「鹿子踊りを積極的に活用し、まちの復興と活性化に役立てたい」と考え、町内の他の4保存会や被災地支援のボランティアに呼び掛けプロジェクトを結成。獅子頭に使うドロヤナギが栽培できずにいたが、メンバーの知人が蘇民将来符のことを知っていたため、寺側に連絡を取り、訪問が実現した。 信濃国分寺によると、東御市の約3ヘクタールの国有林にドロヤナギ7千~8千本ほどが植えられており、寺の近くに住む「蘇民講」の人たちが植林と手入れを続けながら将来符を作っている。プロジェクトの13人は、現地で講員たちから「木の1本ごとに雄と雌があり、雄は極めて少ない」「種子をまく場合は5月上旬ごろ」といった説明を受けた。 13人は同寺の境内に移動し「臼沢鹿子踊り」を披露。獅子頭をかぶった2人の踊り手が笛と太鼓に合わせて威勢良く踊った。 保存会の東梅会長(67)は「上田の皆さんには大変お世話になった。震災の被害は大きいが、地元をこの踊りで盛り上げていきたい」。同寺の塩入法道住職(58)は「材料は同じでも、大槌と上田で活用方法が違っていて興味深い。伝統文化を継承するもの同士、今回の縁を大切に末永くお付き合いしたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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