東京電力福島第1原発の事故で避難を余儀なくされている福島県富岡町の住民を招いた「富岡町を語る会」が15日、上伊那郡箕輪町で開かれた。同県郡山市の仮設住宅で暮らす4人が、事故当時の様子や現在の生活を説明。「被災地のことをいつも見て、分かってくれる人がいて、一緒に考えてもらうことが一番の支えになる」と訴えた。 富岡町は第1原発の20キロ圏内にあり、全域が避難区域。同町社会福祉協議会は本年度、東日本大震災や原発事故を伝える住民を「語り人(べ)」として登録し、被災体験を語り継ぐ事業を始めた。箕輪町を訪れた4人も語り人になった。 畜産業と農業を営んでいた遠藤友子さん(68)は、原発事故直後の避難時はすぐ帰宅できると思っていたという。飼っていた牛12頭は全て死に、「どうすれば牛を助けられたのか、3年たった今でも分からない」。帰れない自宅は傷みが進んでいるといい、「人が住んでいるから家、みんなが暮らしているから町なんだと感じている」と語った。 「語る会」は、仮設住宅を訪問して支援を続ける箕輪町民らの実行委員会が企画。約300人が参加した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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