上田市下之条の上田大橋下流の千曲川で13日午前6時20分ごろ、雄のサケが見つかった。アユ漁用に木を組んであるわな「やな」の上に死んだ状態で載っていた。背びれの近くに番号が書かれたタグが付いており、今月8日に新潟県十日町市の信濃川で確認されたサケと判明。信濃川河口から200キロ以上上流の上田市での確認は2年ぶりで、関係者は遡上(そじょう)を喜んでいる。 見つけたのは、大橋から500メートルほど下流の左岸にやなを仕掛けている近くの中山泉さん(69)。2010年10月にも中山さんが同じやなで死んでいた雌を見つけた。今回のサケは体長56センチ、重さ1・7キロほど。タグは番号が「No.100」で、千曲市の千曲川などで07年からサケの稚魚を放流しているNPO法人「新潟水辺の会」(新潟市)によると、十日町市のJR東日本宮中取水ダムへ遡上してきた際に取り付けられた。 上小漁業協同組合によると組合発足の1949(昭和24)年から2010年の確認までは、サケが上田市まで遡上した記録はなかった。「また帰ってきてくれてうれしい」と中山さん。水辺の会は、飯山市の千曲川・東京電力西大滝ダムでもサケを観察しており、今季は10日までに11匹を確認。その中に今回のサケはいなかった。 同漁協は2年前に見つかったサケの剥製を上田市常田の事務所で展示しており、富岡道雄組合長(64)は「今回の雄も剥製にして一緒に公開したい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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