伊那市と諏訪郡富士見町境の入笠(にゅうかさ)山(1955メートル)を通る古道「法華道(ほっけみち)」の全線復活に向け、富士見側で13日、初の整備作業が行われた。伊那側からの参加者を含め12人が手分けして倒木などを取り除き、看板を設置。踏み跡がほとんど分からない箇所もあるため、地域の歴史の探究や散策などで歩いてもらい、道として定着させたい考えだ。 町民有志らの「富士見の自然と文化を守る会」が昨年度から現地を踏査。地形などから、現在も使われている登山道や舗装された町道なども通る道筋を推定した。この日は、踏み跡がかすかに残る山林内の約2キロ区間を整備。「法華道」と記した看板30枚を用意し、約20枚を取り付けた。富士見町若宮の起点付近などにさらに手を入れるという。 法華道は、伊那市長谷非持(ひじ)―若宮間の約22キロ。室町時代に日朝(にっちょう)上人らが伊那に法華宗を伝えるため行き来したと伝わるが、山中の道は長く廃れていた。伊那側では1999年から、山麓の同市高遠町芝平(しびら)出身の北原厚さん(83)=伊那市御園=がササを刈り払って整備し、散策路として活用されている。 作業に参加した北原さんは「道は全体を通さないと意味がない。大勢の人が歩いて復元できればうれしい」。同会副会長の三井武比呂さん(83)=富士見町乙事=は「歴史ある道として関心を高めていけるといい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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