リニア中央新幹線計画で、阿部守一知事が20日にJR東海に提出する環境影響評価(アセスメント)準備書に対する知事意見の概要が19日、分かった。県の環境影響評価技術委員会や関係市町村の意見を踏まえ、工事用車両の交通量を削減する方策の検討や、トンネル非常口(作業用トンネル坑口)の削減等の見直しを要望。環境基準の適合だけでなく現在の恵まれた自然環境をできる限り悪化させない「ベスト追求型」のアセス実施を求める。 沿線住民が生活環境の悪化を心配する工事用車両の通行は市町村と十分協議し、環境保全協定などを結ぶことを盛る。技術委が落石や深層崩壊など地形・地質上の危険性を指摘した下伊那郡大鹿村大河原では、できる限り地上構造物を避けることとする。残土置き場は、位置などが具体化した時点で周辺環境への影響を調べて県に報告するよう求め、絶滅の危険が増している「ミゾゴイ」(絶滅危惧2類)など希少な動植物は着工までに再調査するよう促す。 準備書で予測に不確実性のある項目は、事後調査と公表、着工前の地下水・水資源の影響調査の徹底を求め、工事用車両が現在より大幅に増える道路での動植物への影響調査を行うことも要請する。 阿部知事が20日、県庁でJR東海の山田佳臣社長に提出する。 工事用車両の通行量については、JR東海が大鹿村の国道152号で「1日最大1736台」などとしている。トンネルは、東京―名古屋間の沿線7都県の山岳区間で、長野県内は最も多い11カ所の非常口がある。(長野県、信濃毎日新聞社)
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