上水内郡信濃町にある野尻湖北西の立が鼻遺跡で21日、野尻湖発掘調査団(団長・赤羽貞幸信州大副学長)による第20次野尻湖発掘が始まった。40年ほど前に発掘した場所をその後の調査の経験や技術で再調査し、一帯が野尻湖人のキルサイト(狩猟解体場)だった証拠を見つけるのが目標だ。初日は雪の降る中、県内外からの参加者64人がスコップなどを手に太古のロマンを追い求めた。 安全祈願の「くわ入れ式」で、1962(昭和37)年の第1次発掘から参加している調査団顧問の小林忠夫さん(77)=埼玉県坂戸市=が「4万年前、キルサイト、野尻湖人、掘るぞ」と気勢を上げた。 今回発掘するのは、「月と星」と呼ばれる三日月状のナウマンゾウの牙と星形のヤベオオツノジカの角が並んで出土した第5次(73年)や、第7次(78年)の調査地点周辺だ。調査団顧問で野尻湖ナウマンゾウ博物館館長の酒井潤一さん(77)=塩尻市=は「今回の場所は(過去に大きな成果が出た)『本丸』。次の50年に向けた第一歩」と期待した。 この日は、ナウマンゾウの骨片数点や40年前に埋め戻した発掘場所を示すたこ糸などが見つかった。初めて参加した東京都調布市の会社員鈴木芳光さん(46)は「普通の石を見ても化石に見える。大きくなくてもいいので何か化石を見つけたい」と話していた。 第20次発掘は今月31日まで。(長野県、信濃毎日新聞社)
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