４月１日に消費税が増税される前の最後の週末に入った２９日、県内の家電量販店や商業施設は、駆け込み購入をする人たちでにぎわった。地球温暖化対策税（環境税）の増税と合わせ、ガソリン１リットル当たり５円程度の値上がりが見込まれている給油所では一時、順番待ちの行列もあった。買い物をした人からは景気回復の実態が乏しい中で、増税後の生活防衛策に悩む声が出ていた。
松本市新村のガソリンスタンド「立石コーポレーション新村店」は、午後１１時ごろにもひっきりなしに給油する客が訪れた。安曇野市の農業男性（６０）は軽トラックに給油したほか、三つのタンクを持参し、農業機械用の軽油なども購入。コメやリンゴ作りで今後も多くの燃料が必要といい、「少しでも予備を取っておかないと。（増税は）きつい」と話した。
長野市西和田のガソリンスタンド「セルフ長野高田ＳＳ」ではこの日、普段より３割程度多くの車が給油した。店によると、燃料の残量があっても給油に訪れる客が目立った。
給油に来た近くの会社員佐藤彩夏さん（２４）は両親らとの４人暮らし。毎月の支出は１２万円ほどで、そのうち数万円を親に渡している。「暮らしに影響が出るのだから、若者世代の年金不信を解消するなど、国民に還元する施策をしっかりしてほしい」と要望した。
「迫る増税買い替えるなら今」。松本市内の家電量販店はこう記した看板を設けた。約２万２千円のデジタルカメラを購入した松本市の会社員柿内優宏さん（３１）は「買い替えようと思っていたので、増税前の今しかないと思いました」と話していた。
長野市高田の時計・宝飾品店「ブルージュ一真堂」は、例年の３月と比べ、ブランド物の腕時計の売り上げが２倍近くになっているという。須坂市の団体職員の男性（５１）は２９日、３２万円の海外ブランドの腕時計を購入。「買い替えようと思っていたので、安い時に買った。車の購入も検討したが、納期の問題で増税前の金額では買えないと言われたので、こちらにしました」
東筑摩郡山形村の商業施設「アイシティ２１」では２６日から増税前の駆け込みを狙って、数十万円の高級ブランドのバッグなどが並んだセールを開催中。塩尻市宗賀のパート従業員の春日由美香さん（５１）は、普段よりも高い夫のネクタイを購入。「増税は仕方ない。今後は生活費を抑えようと思う」としていた。（長野県、信濃毎日新聞社）
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消費税８％まで秒読み、増税対策ラストスパート
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