「蚕都上田」で蚕糸業の復活を―。上田紬(つむぎ)活性化支援事業実行委員会の設立総会が9日、上田市大手の上田商工会議所で開かれた。昭和初期までのように養蚕、製糸、紬の製品化という一連の産業を復活させ、地元経済を活気づけようと、同商議所や上田紬の業者、信大繊維学部などの関係者43人で発足。本年度は市場調査や養蚕業の環境整備といった5事業を進めると決めた。 市場調査では、百貨店や服飾分野の関係者を通じて都内などでの上田紬の需要を探る。養蚕業の環境整備のため、市内で桑畑を確保できる場所を調べるほか、蚕の飼育農家確保や技術伝承に取り組む。この他、ロボットが紡いだ糸などを使った新製品の開発、コンピューターで顧客の好みに合った色やデザインを決めて紬を織る方法の確立、製糸工場で使われた機械などを紹介する観光ツアー考案の各事業を具体的に検討する。 同商議所や同学部は昨年度に特別委員会を設け、上田紬の手触りや繊維の伸びを研究。本年度は特別委に信州うえだ農協などが加わり、実行委をつくった。本年度の概算事業費は450万円。国の補助金300万円と、同商議所と上田紬織物協同組合からの計150万円を充てる。 総会では、同商議所食品繊維木材工業部会長の会社役員鈴木由紀夫さんを委員長に選んだ。鈴木さんは「蚕糸業の復活は夢とロマンがあるが、産業としての継続性を考えると道のりは険しい。覚悟を持って取り組みたい」とあいさつした。 実行委は今後、淡い緑色が特徴の「天蚕」の生産農家などでつくる安曇野市天蚕振興会とも連携していきたい考え。海外で紬製品を販売する可能性も探る。(長野県、信濃毎日新聞社)
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