大切な人を亡くした死別体験者を支援している中信地方の団体「ケア集団ハートビート」は、死別の悲しみとの向き合い方や死亡届などの手続きをまとめた冊子「大切な人を亡くしたときの手引―長野県・中信地方版」を作った。「死別で深い悲しみにある人の支えに」と英国の冊子を参考に地域の葬儀の慣習などを含め約2年かけてまとめた。今後、地元の医療機関や福祉施設などに無料で配り、住民らに役立ててもらう考えだ。 ハートビートは2006年発足。松本市白板の東昌寺住職、飯島恵道さん(50)を中心に、信州大医学部保健学科准教授の山崎浩司さん(43)=死生学、松本短大准教授の山下恵子さん(52)=小児看護学=ら松本市内の大学研究者や中信地方の死別体験者ら10人ほどでつくる。 山崎さんが英国スコットランドを訪れた際、国家医療制度の国民保健サービス(NHS)発行の冊子を目にし、日本版を作りたいと提案した。今回、日本の実情や中信地方の慣習なども踏まえまとめた。 山崎さんは「死別体験者は自分の悲しみを表出する場もなく、自分の悲しみ方がおかしいのではないかと思う人もいる。死別直後の混乱した時に読めるものがあるのは重要」と指摘する。 冊子はA5判21ページ、3部構成で、今後千部ほど印刷する予定。まず死別直後に必要な死亡届などの手続きや葬儀の出し方、臓器提供への対応などを紹介。次に死別後の悲しみと向き合う心構えとして「焦らずに時間をかけること」「悲しみは自然な反応と受け止め、心を許せる人に相談する」などと助言している。最後に相談できる支援団体などをまとめて紹介している。 今月12日に死別の悲しみを話し合う「Coco(ココ)カフェ」を東昌寺で開き、冊子を紹介する。午前10時~午後4時。参加費は昼食付き千円、昼食なし500円。申し込み、問い合わせは山崎さん(電話090・6670・3893)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧