茅野市と諏訪郡原村にまたがる八ケ岳中央農業実践大学校の敷地で、民間会社によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設と、上水道を活用した市の小水力発電計画が同時に進められていることが24日、分かった。共に来年度中の発電開始を目指し、同校を含め3者が連携し、一帯を施設見学や農業体験もできる「エコゾーン」として紹介していく考えだ。メガソーラー建設では全国から寄付も募り、協力者に「配当」として同校の農畜産物を贈るユニークな試みも検討している。 メガソーラー建設は、森林資源の活用法などを研究している茅野市の「茅野まちづくり研究所有限責任事業組合」の理事ら3人の他、同市と佐久市の企業2社が計画。同組合の山本永(ひさし)理事(51)=茅野市玉川=によると、資本金は500万円で、近く運営主体の株式会社「地域エネルギーイニシアティブ」を設立し、最低でも1メガワット(1千キロワット)級の施設を造るという。 予定地は同校敷地のうち茅野市玉川側の原野約2ヘクタールで、同校を運営する公益財団法人・農村更生協会(東京)から有償で借りる。過去の気象データなどから年間約120万キロワット時を発電し、約5千万円の売電収入が得られると試算。山本さんらによると、この発電規模で一般家庭300世帯を賄える。一方、4億~5億円と見込む建設費は銀行の融資で賄い、売電収入で返済していく構想だ。 山本さんは「都市部の住民にも自然エネルギー発電に貢献している実感を持ってもらうため、建設費の一部に寄付を充てたい」と話す。寄付者には同校で生産した野菜や乳製品などを贈りたい考えで、同校側も「農場を訪れる観光客の増加や生徒の環境教育につながる」(宮脇耕平校長)と連携に期待を寄せる。 一方、上水道利用による小水力発電は、茅野市が2010年から市内の候補地を探ってきた。水源と配水池の標高差を利用し、水車を回して発電する仕組みで、候補の配水池が同校敷地内にあることからメガソーラー計画と連携することにした。連携により、両発電施設の送電線を共有できる利点もあるという。 市によると、水車は配水池と、水路の途中にあって管にかかる圧力を逃がすために設けられている二つの減圧槽への設置を計画。このため最大で3基設けることができる。1基当たり年間約10万~12万キロワット時を発電し、約350万~420万円の売電収入が得られる試算という。設置費は1基当たり数千万円の見込みで、数は検討中だが、来年度の一般会計当初予算案に費用を計上する予定だ。 メガソーラーについて、山本さんは「地元企業が実施主体になることで、地域でお金が回る仕組みをつくりたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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