県内で大手企業を中心とした生産拠点閉鎖や人員削減が相次いでいることを受け、長野労働局は県や経済団体、労働団体などに呼び掛けて「緊急雇用対策本部」を年内に設置する。製造業を中心に今後も雇用環境の悪化が予想されることから、情報収集や再就職支援で連携を強める。同局の本川明局長は30日の記者会見で「工場の移転や人員整理が広がる可能性も踏まえ、迅速に対応できるようにしたい」と述べた。 同本部の設置は、リーマン・ショックの影響で雇用環境が急激に悪化した2008年12月以来4年ぶり。人員整理の動きを早期に把握し、企業に労働関係法令の順守を求めたり、再就職希望者に情報を提供したりする。設立に先立ち、3日には担当者レベルの連絡会議を開く予定だ。 同局が30日に発表した県内の10月の有効求人倍率(季節調整値)は0・80倍と、3カ月連続で同水準となった。09年7~8月に0・39倍をつけたのを底に回復傾向が続いていたが、0・85倍となったことし5月を境に緩やかに下がり始め、「持ち直しの動きに足踏みが見られる」(労働局)のが現状だ。 10月の全体の新規求人数(1万5003人)は、内需に支えられた卸小売業や運輸業の増加などで前年同月比7・7%増となったが、製造業は2・5%減で5カ月連続の前年同月割れとなった。 中でも、新興国メーカーとの競争が激しい電気機械器具は34・0%減。上期は底堅かった自動車などの輸送用機械器具も44・4%減となるなど落ち込みが大きい。同局は「円高に加え、中国で日本製品の販売が冷え込んでいることが影響している」(職業安定部)とする。 10月にあった10人以上の人員整理は12社・240人で、うち製造業は9社・203人を占めた。同局は大手製造業の県内拠点再編による影響は今後数字に表れるとみており、「県内雇用の維持・拡大に向けて関連機関が機動的に動く必要がある」(本川局長)としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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