コンデンサー大手のニチコン(京都市)は30日、アルミ電解コンデンサーなどを製造する完全子会社のニチコン長野(安曇野市)を来年3月末で閉鎖すると発表した。同社の従業員は284人。雇用はグループ会社への配置転換によって原則、維持するとしている。ニチコンは家電や情報機器向けなど多種類のコンデンサーを生産しているが、世界的な景気減速で業績が悪化しており、長野の業務を国内外のグループ会社に移してコスト削減を図る。 ニチコン長野は、エアコンや産業機械向けの大型アルミ電解コンデンサーと、パソコンや携帯電話のバックアップ用電源などに使われる電気二重層コンデンサーを製造。今後、開発部門はニチコン大野(福井県大野市)に統合。製造部門は同社と中国、マレーシアのグループ会社に移転する。ニチコン長野の敷地(約3万6千平方メートル)と建物の活用策は今後検討する。 ニチコングループの生産拠点は県内に、コンデンサー用の電極箔(はく)を製造するニチコン製箔(大町市)と同社穂高工場(安曇野市)などがある。ニチコンIR室は「従業員の希望に応じ、県内外のグループ会社で雇用を継続していく」と説明している。 ニチコンによると、欧州や中国などの景気減速でコンデンサーの需要が減少し、価格も下落。2012年9月中間連結決算では12億5300万円の最終赤字を計上した。 ニチコン長野はことし10月、本社から分社化されて設立したばかり。ニチコンは「かつてない厳しい経営環境が当面続くとみられ、生産効率を高めて競争力を上げるため、生産体制を見直さざるを得なかった」(IR室)としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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