松本市の信大病院は2日、米国製の内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を県内で初めて導入したと発表した。内視鏡手術は、体に小さな穴を開け内視鏡を差し込み、映像を見ながら患部を切り取る手法。傷口が小さいため、出血が少ないなど患者への負担が軽くなる。ロボットを使えばより精緻で安全に手術ができるという。当面、対象は泌尿器科の前立腺がん全摘手術のみで、18日に第1例目の手術を行う予定。 ダ・ヴィンチは米インテュイティブ・サージカル社製。医師は操作台に座り、立体画像を見ながら手に装着した器具を操作する。手術台には、メスなどが付いた3本の腕と、カメラがあるロボットを設置。遠隔操作で患部を切ったり縫ったりできる。 会見した天野直二院長らによると、導入費用は約5億円。泌尿器科で行っていた開腹手術(年間約20例)に加え、近隣の相沢病院(松本市)などで行っていた計約60例も、ダ・ヴィンチ手術に移行する見込み。患者への負担が減るため、開腹手術では約2週間かかった入院期間が約半分に短縮できるという。 ダ・ヴィンチ手術で保険適用されるのは前立腺がん全摘手術のみだが、婦人科や一般消化器外科、胸部外科(心臓外科を除く)の手術で使うこと自体は既に国の承認を得ており、同病院泌尿器科の西沢理(おさむ)教授は「早い段階で他診療科の手術でも使えるようにしたい」と抱負を話した。 同病院によると、ダ・ヴィンチは02年から国内で導入が始まり、信大病院は71台目、国立大病院では21施設目。来年3月には、長野市民病院でも導入する予定という。(長野県、信濃毎日新聞社)
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