火災で校舎などを全焼した上田市浦野の浦里小学校の全校児童92人に25日、焼けた校舎の廃材で作った木製の笛「コカリナ」が一つずつ贈られた。同市出身のコカリナ奏者黒坂黒太郎さん(63)=埼玉県=や東信地方の愛好者でつくる「浦里小学校応援コカリナプロジェクト」が、「校舎の思い出を残せるように」と火災直後から製作。児童たちは黒坂さんに音の出し方を教えてもらい、早速音を響かせた。 プロジェクトは火災から2週間余りたった9月21日に発足した。梁(はり)や柱だった9本を同校から譲り受け、東御市加沢の木材業者が製材。黒坂さんら6人が製作し、他のメンバーや保護者はコカリナを入れる布の袋を作った。 黒坂さんは体育館に集まった全校児童に「火事は悲しかったね。でも校舎は(コカリナに姿を変えて)よみがえりました」と語り掛け、廃材で作ったコカリナで同校校歌などを奏でた。その後、プロジェクトのメンバー10人ほどが1人ずつに手渡した。黒坂さんはド、レ、ミ、ソの音の出し方を説明し、全員で「かっこう」の冒頭部分を吹いた。 児童会長の6年、沓掛千夏さん(12)は「校舎があった場所を見ると今でも悲しくなるが、コカリナとして形になりうれしい」。滝沢俊明校長は「火災後たくさんの人が浦里小を支えてくれていて、ありがたい」とあいさつした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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