上田信用金庫(本店・上田市)の40代の元男性職員が顧客の預金などから5千万円余りを横領したとされる問題で、同信金が26日にも上田署へ詐欺容疑で告訴状を提出し、同署が受理する見通しとなったことが25日、分かった。元職員は信濃毎日新聞の取材に横領の事実を認めており、同署は金の使い道などを詳しく調べる方針。 同信金の調査によると、元職員は臼田支店(佐久市臼田)で企業への貸し付け担当だった2007年2月から08年6月までの間、客1人から5305万円を預かって口座に入金した後、無断で全額を引き出した。 また、本店企業支援課にいた09年7月からことし8月までの間、無断で定期積金証書を持ち出し、自宅のパソコンで通常より利率の高い証書を偽造した。同信金は当初、偽造証書に基づいて4人から計470万円をだまし取ったとしていたが、別の客1人で105万円の被害が新たに判明し、被害額は計575万円となった。 同信金は、これらについて上田署に被害届を出しており、このうち金額が多い臼田支店時代の約5千万円分について告訴が受理される見通し。 同信金は「元職員の横領という事態で、信頼は大きく傷ついた。警察の捜査で詳しい経過を明らかにしてもらい、再発防止につなげたい」としている。 元職員はことし8月31日付で懲戒解雇された。同信金によると、確認した被害総額5880万円について、元職員側は11月末までに全額弁済した。横領した金の大半について、元職員は佐久市内などの複数の企業に貸し付けたと説明しているというが、多くが既に倒産しており、詳しい使い道は分かっていない。(長野県、信濃毎日新聞社)
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