上田市緑が丘の成田昭夫(てるお)さん(79)ら市内の70代男性グループが、東京・日本橋から京都市・三条大橋までの旧中山道全約530キロを、2006年11月から今月までの計29日で歩き切った。日本橋から追分(北佐久郡軽井沢町)までの間は07年までに踏破。6人が昨年9月から残りに挑戦していた。「最後までたどり着けてうれしい」とそれぞれ達成感をかみしめている。 6人はいずれも八十二銀行(本店・長野市)に勤務していた。成田さんは06年、箕輪俊一さん(78)=常磐城5、佐藤光生さん(73)=常磐城4、田中怡宗(よしむね)さん(74)=諏訪形=と一緒に上田市から旧北国街道、中山道を歩いて日本橋を目指した。1日約20キロを歩いて同市に帰り、次は続きを歩くことを繰り返し、計9日で到着。その後、向井益男(ますお)さん(75)=上田=も誘い、北国街道の中でまだ歩いていなかった同市から新潟県出雲崎町までのルートを、昨年6月に踏破した。さらに旧中山道を歩き切ることを目標に据え、新井紘(ひろむ)さん(70)=上野=も加わった。 三条大橋には9日に到達。京都市内に住む友人1人と上田市から駆け付けた元同僚2人の出迎えを受けた。新井さんは「よくこんなに歩けたな」。箕輪さんは「帰りに車を運転していて、この距離を歩いてきたと思うと達成感が込み上げてきた」と話す。 6人は「楽しい思い出、出会いがたくさんあった」と口をそろえる。本を参考にしながら、江戸時代の道を忠実に歩くよう心掛けたという。そのため、舗装された道路よりも山道やあぜ道が多くなり「(小県郡長和町と諏訪郡下諏訪町を結ぶ)和田峠で崖から滑り落ちそうになった」と佐藤さん。 岐阜県内では道を間違え、田んぼに囲まれた道を3キロほど引き返した。休憩場所を探していたら飲食店の店主が定休日の店を開けてくれたり、雨が降って寒い日、道行く人から温かいお茶をもらったり。箕輪さんは「京都に着くのをたくさんの人が応援してくれた」と振り返る。 成田さんは「この仲間でまた何かに挑戦したい。東海道や(日本海と松本地方を結ぶ)塩の道はどうかな」と、早くも考え始めている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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