大町市八坂で温泉宿泊施設「明日香荘」などを経営し、粉飾決算を繰り返して破綻した市出資の第三セクター「株式会社あすかの杜(もり)」の1回目の債権者集会が7日、地裁松本支部で開かれた。1億3千万円と見込まれる破産債権に対し、回収できた資産は330万円。一般債権者への配当は難しい状況という。今後、管財人が同社役員の法的責任を問う余地があるかどうか役員から聞き取りし、12月17日に第2回を開く。 未収水道料金などがある市を含め債権者約20人が出席。破産管財人の宮田旭(あきら)弁護士(松本市)によると、現金預貯金や売掛金、在庫商品などの財産目録を示す一方、未払いの厚生年金掛け金など優先返済しなければならない税金等が1400万円余あると説明した。元従業員約30人の未払い賃金約1400万円は国の立て替え払い制度で既に支払われたという。 回収できる資産はほぼ出尽くしたとし、今後は、同社役員への聞き取り調査を行い、経営破綻や粉飾決算についての注意義務違反などがなかったかを調べるという。 終了後、取締役会や市の責任を問う「債権者の会」呼び掛け人の宮田一男さん(58)=大町市=は「うやむやに終わるかとも思っていたので管財人に役員責任を問う姿勢が見えてよかった」と期待。一方、集会の冒頭にあらためて謝罪した高橋忠芳社長は「今後ほかの役員の責任も問われるとすれば、私の責任は重い」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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