諏訪地方特産の角寒天を使った食事を、冷凍や真空パック詰めの状態で全国の病院や老人介護施設に提供する計画が茅野市内で進んでいる。角寒天の消費拡大につなげようと、食物繊維が豊富に含まれる点に着目。肉や魚料理などに取り入れた9品を既に試作しており、早ければ来年度にも商品化する。 同市の県寒天水産加工業協同組合や諏訪東京理科大などが産学官連携で進める「寒天プロジェクト」の一環。2005年にテレビ番組をきっかけに起こった寒天ブームの後、細る傾向の需要を回復させようと、関係者が昨年から市場調査や新商品開発に取り組む中、医療や介護関連の施設を主な購買層に想定した。 9品は、寒天プロジェクトのリーダーを務める市内の寒天料理店オーナー、両角和哉さん(33)が約1年かけて考案。諏訪市内の病院の管理栄養士、林笑子さん(65)=岡谷市本町=が栄養バランスなどを監修し、肉、魚、卵料理を3品ずつ作った。 21日夜、両角さんの店で開いた試食会にはプロジェクトの関係者ら8人が出席。トマトジュースの寒天寄せを豚肉で巻いたカツレツ、角寒天を加えたカレイの煮こごり、ポテトサラダとゆで卵を固めた寒天寄せなど9品全てを試食した。出席者からは「寒天でとろみが付き、お年寄りでものみ込みやすい」「味が多彩で飽きない」と好評だった。 県寒天水産加工業協同組合は、来年度の県の地域発元気づくり支援金を活用し、料理の瞬間冷凍や真空パック詰め用の機器を購入する計画。これと並行する形で、茅野市内の介護付き有料老人ホームとグループホームの計3カ所に料理を提供し、一定期間食べた入居者に便秘予防やコレステロール低下の効果が見られるかどうかを調べる。 同組合の小池隆夫組合長(67)は「商品化が実現すれば、市内での調査結果を基に寒天料理の健康効果をPRする。インターネット通販などを通じて一般消費者にも届けたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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