諏訪市内の製造業など複数の企業が連携し、価格が1個「数万円」という高級砂時計の開発・販売に乗り出す。加工の難しい特殊な金属を素材に用いることで、精密加工技術の高さを示し、新たな諏訪ブランドの構築につなげるのが目標。素材の一部を東日本大震災の被災地となった岩手県釜石市の企業から仕入れ、復興支援にも役立てたいとしている。 砂時計の部品加工と組み立てを手掛けるのは、自動車部品などを製造する小松精機工作所(諏訪市)と、精密部品加工の松一(同)。製品のデザインはデザイン会社のZEST(ゼスト・塩尻市)が担い、完成品を観光施設のSUWAガラスの里(諏訪市)や中央道諏訪湖サービスエリアで限定販売する計画だ。 砂時計は高さ十数センチ。四方に諏訪の「御柱」のイメージで支柱を配し、素材に独立行政法人物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が開発した超微細粒鋼(りゅうこう)を使う。結晶が小さく、強度が高いのが特徴という。上下の土台部分には、東北大(仙台市)が人工関節など生体内で使う医療用素材として研究を続けるコバルトクロム合金を使い、金属を釜石市の企業から仕入れる。 これらの金属は今後の活用が期待される新素材だが、加工が難しいのが特徴。その金属を高精度に加工してみせることで、新たな需要の開拓につなげる狙いがある。「砂」は、特殊な加工技術で大きさを直径0・1ミリ程度にそろえた金属粉を使うという。 計画を発案した一人、小松精機工作所製造部の小松隆史部長(41)は「マニアックな商品だが、意外性もあり、大人のぜいたく品として売り出したい。注目を集め、多くの人が諏訪を訪れるきっかけになればいい」と期待している。来年度中の完成を目指すという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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