AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失事件の被害を受けた県建設業厚生年金基金(長野市)など県内外の8厚生年金基金(厚年基金)が30日、財政状態が悪化した基金を対象に国が検討中の救済案を見直し、内容や対象を拡充するよう自民党と厚生労働省に要望した。役員ら16人が、都内の同党本部と厚労省で石破茂同党幹事長、田村憲久大臣に陳情書を手渡した。 国は昨年11月に厚年基金制度の改革試案をまとめ、返還金に上限を設けるなどの救済案を盛り込んだが、適用要件が高く県内基金は対象外とみられている。 陳情書では、厚労省の救済案では「(被害基金の)加入事業所の倒産の多発と加入員の失業を増加させることは明らか」とし、各基金が国に返還する年金資産の減額や返還期間の延長、返還金確保への金融支援などを求めた。 やりとりは非公開。県建設業厚年基金の中川信幸理事長によると、石破幹事長は党として対応を検討する考えを示したが、基金の負担軽減を図ると、厚生年金で穴埋め分を負担することになるため「頭の痛い問題だ」とも述べた。田村厚労相も要望を全面的に聞き入れるのは難しい、としたという。 陳情には、県内に事務所を置きAIJの被害を受けた8基金のうち県病院(松本市)と県機械工業(同)を除く6基金が参加。栃木県と京都府の建設業厚年基金も参加した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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