60歳以上を対象にした人形劇のワークショップ(講座)の発表公演が9日、飯田市の飯田人形劇場で2日間の日程で始まった。受講生19人は昨年8月から、仮面や影絵なども取り入れた欧州の新しい人形劇の手法「フィギュア・シアター」に取り組んできた。初日は4個人・グループが約140人の観客の前で成果を披露。指導に当たったチェコ在住の人形劇作家、沢則行さん(51)は「芝居の原点を思い出した」と、受講生たちの頑張りをたたえた。 飯田下伊那地方に伝わる民話「おしなの文吾(ぶんご)」を演じた前沢道子さん(60)=飯田市竜丘=は、ベストに似た服を着て自らが主人公を演じながら人形8体を操る1人9役に挑戦。苦手なせりふを手の甲に書いて本番に臨み、表情豊かに演じた。 終了後、舞台に上がった沢さんは、前沢さんが前日練習で悔し涙を流したエピソードを紹介し「お客さんを楽しませるために悩んだり泣いたりできることは大切」と語った。 主人公と和尚のやりとりを描いた作品を演じた5人グループは上演後、抱き合って喜びを分かち合った。その一人、今村幸子さん(63)=同市伊豆木=は「仲間と一つの目標に向かう喜びを感じた」と、達成感に満ちた表情を見せた。 講座は市飯田文化会館が企画。受講生たちは7個人・グループに分かれて、脚本作りや人形製作に取り組んだ。10日は午後1時から、別の3個人・グループが発表する。入場料は1人700円。(長野県、信濃毎日新聞社)
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