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マツヤ「利益改善」求め粉飾 昨夏の内部発覚後も隠蔽

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 東北信地方など県内に32店舗(2012年4月時点)を展開するスーパーのマツヤ(長野市)が粉飾決算をしていた問題で、同社では上司から利益の改善を迫られた仕入れ担当者らによるリベートの架空計上が常態化し、事態を知った社長らも隠蔽(いんぺい)を図っていた。背景には小売業界の競争激化があるとされるが、問題を調べた第三者委員会は同社のコンプライアンス(法令順守)意識の欠如を厳しく批判した。  同社が8日に公表した第三者委の調査報告書によると、リベートは「仕入割戻金」で、商品の取引量などに応じて仕入れ先から受け取る。販売量を増やす奨励金の意味合いがあり、それ自体は問題のない商習慣だという。  今回は加工食品や生鮮食品などを仕入れる商品部の10人ほどが架空計上に関与し、総額は11年2月期から12年3~8月期までで計1億8千万円に上った。担当者は架空の金額を記したリベート明細書を作成。仕入れ先の担当者名に合わせた三文判を使うなどして、リベートが支払われることを示す文書を偽造したこともあったという。  8日深夜の記者会見で、小山光作前社長は小売業者間の競争が激しくなったことを問題の背景に挙げた。2007年ごろから新潟県などのスーパーの県内進出が加速。生鮮食品を扱うホームセンターやドラッグストアなど、新たな競合相手も増えていた。  「売上高、利益が伸び悩み、自社の予算と実績が徐々に乖離(かいり)するようになった」。報告書は、マツヤが売上高が伸びなくなって利益の改善を重視し始めたとする。商品部担当の取締役(1月末に辞任)も、こうした方針を同部の担当者に強く指示。リベートが増えれば結果的に商品仕入れ額が減って利益が増えるため、架空計上が広がったとみられる。  入金されない架空のリベートが多額の未収入金として積み上がり、社内で問題が明らかになったのは昨年8月。だが、小山前社長ら役員は、ただちに調査して決算訂正を検討するなどの対応をせず、逆に私財計6千万円を会社に入金して未収入金を穴埋めした。  マツヤが第三者委を設置したのは昨年末。監査法人に告発文書が届いたのがきっかけだった。「取締役自身がコンプライアンス違反を行っている。上場会社の取締役自らが会計不正に関与した際の消費者、取引先、資本市場等に対する影響や責任の重さを認識することは当然」。報告書は前社長らの隠蔽行為をそう指弾した。  同社は8日に役員の処分を決定。小山前社長は代表権を返上したものの会長にとどまり、弟の小山栄造取締役が社長に昇格した。未収入金の穴埋めに関わった他の取締役は辞任したり、報酬を減額されたりしたが、「本気で改革するつもりなのか疑問」と話す県内の小売業者もいる。(長野県、信濃毎日新聞社)


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