飯田下伊那地方の小中学校教員でつくる下伊那教育音楽研究会創作部は、飯田市の飯田文化会館で16日に開く発表演奏会で創作オペレッタ「熱誠の教師林芋村(うそん)ものがたり」を披露する。大正から昭和に下伊那郡平谷村の小学校で教育に情熱を注いだ実在の教員、林芳弥(よしや)(林芋村)を描いた物語。林の姿は「信州の教育の原点」とも評価されている。本番に向け部員たちは10日、リハーサルに臨んだ。 脚本を手掛けた信州児童文学会顧問の宮下和男さん(82)=飯田市上郷飯沼=によると、林は1886(明治19)年に旧同郡千代村(飯田市千代)出身。16年間、平谷小で代用教員を務めた。休日返上で子どもを教えたり、冬の朝は雪を踏み付けて登校用の道を整えたりと、逸話が数多い。 芋村のペンネームで子どもへの思いを短歌に残した。深い雪の中を登校する児童の靴の跡を見て詠んだ「深雪せる野路に小さき沓(くつ)の跡われこそ先に行かましものを」は劇中で紹介される。 元教員の宮下さんは91年に林の評伝を執筆。信州教育の原点として見つめ直そう―と上演作に選んだ。創作部は昨年から週1回ほどの練習を重ねている。飯田市丸山小学校での10日のリハーサルには部員十数人が参加。見守った宮下さんは「子どもたちに命を懸けた芋村の教育熱心さをアピールしたい」と話した。 オペレッタは、午後1時半からの発表会の後半で披露される。時間は1時間ほど。小学生以上300円。(長野県、信濃毎日新聞社)
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