善光寺街道(塩尻市洗馬―長野市の善光寺)を生かして地域おこしを目指す団体・個人でつくる善光寺街道協議会(事務局・東筑摩郡麻績村)が、冊子「善光寺街道の近代を歩く」を発刊した。2008年の発足以来、温めてきた企画。会員の中で街道の歴史に詳しい人たちが、近代の史跡や物語をまとめ、写真付きで紹介している。 同協議会には、街道を「歩く道」として再生しようと取り組む沿線住民約170人が参加。江戸時代だけでなく、近代についても学ぼうと、昨夏から講座を開くなどしてきた。冊子では、麻績村などで起きた世直し一揆や明治初期の廃仏棄釈(きしゃく)、1878(明治11)、80年の明治天皇の巡幸などに触れている。飲食店が並ぶ篠ノ井追分(長野市)や商業で栄えた稲荷山宿(千曲市)にもページを割いた。 ほぼ並行して敷設された鉄道、篠ノ井線も紹介。同郡筑北村に石炭採掘場跡があり、西条駅から県内の製糸工場へ燃料として石炭が大量に輸送された。1905(明治38)年の貨物発送量は同駅が当時の県内全29駅中1位で全体の4分の1近くを占めたという。 八幡村(現千曲市八幡)はリンゴ栽培の歴史が古く、1879(明治12)年に植えられた県内最古とされるリンゴの古木があるなどの歴史も記した。 同協議会長の小瀬(こせ)佳彦さん(49)=麻績村=は「訪れた人に心に残る街道の物語を持ち帰ってほしい。そのために新たな物語を掘り起こし、先人の生きた証を伝えていきたい」と話す。今後も年1冊は冊子を作りたいという。 600冊印刷し、街道沿いの図書館に寄贈した他、希望者には1冊千円で送っている。A5判、136ページ。問い合わせは小瀬さん(電話090・2160・6840)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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