北佐久郡軽井沢町は、旧軽井沢地区に大正時代からある六差路の交差点「六本辻(ろっぽんつじ)」の安全性を高めるため、右回り限定の円形状交差点「ラウンドアバウト」にする実験を、来月始める。10日に打ち合わせのため同町を訪れた実験助言者、名古屋大大学院の中村英樹教授(交通工学)によると、6本もの道が集まる交差点は全国的にも珍しいといい、改善にはラウンドアバウトが効果的としている。 六本辻の交差点は、旧軽井沢銀座通り付近と国道18号を結ぶ町道離山(はなれやま)線(旧中山道)が北東―南西方向に通り、そこに4本の町道が進入する形だ。信号機はない。離山線は幅6・5メートル、他の4本は4・5~6メートル。三つの進入町道の前を横切る長さ約30メートルの横断歩道がある。実験を担当する町都市デザイン室によると、大正時代、別荘地開発に伴い造られたという。 観光客の通行が多く通学路にもなっている。以前から、車がどの道に曲がろうとしているか分からないなど危険が指摘されていた。軽井沢署によると、昨年の事故は4件。大きなけがはなかったが、町、同署とも現状のままでは大事故が起きかねないとの認識だ。 実験では、路面表示や道路施設などを変更。交差点中央に右回りの環状道路を設ける。離山線を含め全ての町道を、一時停止してから環状道路に入るようにする。横断歩道は各道ごとに設ける。 町は近く工事に入り、11月中旬から運用を開始。12月下旬までの効果をアンケートなどによって検証する。その後も交差点は変更したままとし、来年の大型連休時の状況などを踏まえ、恒常的にするかどうかを判断する考えだ。 中村教授によると、ラウンドアバウトは信号機を設置せずに安全性や円滑性を高められる。電力に頼らないため、災害時や停電時にも機能を維持できる。東日本大震災後、注目されているという。県内では飯田市が先進的に取り組んでいる。米国など海外では導入が進んでいるが、国内での運用はまだ少ない。(長野県、信濃毎日新聞社)
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