都市部の住民が農村部に移住し、地域活性化などに取り組む総務省の制度「地域おこし協力隊」の隊員数が、県内10圏域で最も多い飯田下伊那地方で、来年度の隊員数がさらに増える見通しだ。現在は6町村で計17人が活動。このうち4町村が増員を計画しているほか、下伊那郡天龍村と喬木村は初の採用を予定している。地域に溶け込んで活動する隊員たちの姿がさらに広がりそうだ。 協力隊員は各自治体が独自に募集・選考する。県市町村課によると、県内で活動中の隊員は14市町村の計49人(昨年12月1日現在)。圏域別でみると、飯伊地方の17人は松本地方の9人、北安曇地方の7人などを大きく上回る。 下伊那郡6町村の来年度の隊員数は、阿南町が新たに4人を採用して5人、泰阜村と売木村はともに1人増やして5人と4人に。豊丘村は現在の2人が任期を終えるが、新たに3人程度を採用する。 初めて隊員を迎える天龍村は2人、喬木村も2人程度を予定。阿智村は3人で変わらず、大鹿村は1人が任期を終え3人に。合計すると来年度は計27人程度になる見通しだ。 天龍村役場では25日、隊員に応募した女性(27)=東京都=の面接が行われた。女性が村に抱く印象は「過疎化は進むが住民のつながりが強く、伝統芸能が盛ん」。旅行会社の添乗員の経験を踏まえ「村の資源を生かし魅力を伝えたい」と意気込みを語った。 隊員たちの活動は県外でも評価を受けるようになっている。日本野菜ソムリエ協会(東京)がホウレンソウをテーマに1月に開催した第13回「野菜ソムリエサミット」で、泰阜村の隊員が栽培したホウレンソウは栽培や包装の方法が評価され、「購入評価部門」の3位となった。 2010年度から隊員を受け入れている泰阜村の松島貞治村長は「若者が農山村に興味を持っていることが分かった。定住につなげるためにも、任期後の隊員が地域の中で生きていく道を、受け入れ自治体が支援する必要がある」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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