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医療結び自殺断つ 安曇野・上田地域 取り組むケア

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 自殺未遂を繰り返す人に対し、最初に運び込まれる救急医療部門と精神科などが連携し、適切な精神医療に結び付ける取り組みが安曇野、上田両地域で進められている。救急ケアを受けただけで医療機関を離れ、再び自殺を図る人が少なくないため。精神科がない救急医療機関には、近隣の病院から精神科スタッフが駆け付けるなど、再発を防ぐ努力を続けている。  「(精神面の問題を)解決できるよう、こちらで治療してみませんか」。自殺を図って安曇野赤十字病院(安曇野市)に救急搬送された患者に、県厚生連安曇総合病院(北安曇郡池田町)精神科の訪問看護師幅和成さん(37)が自分の病院への転院を提案した。患者は落ち着いていたが、口は重い。聞き取りに1時間ほどかけた幅さんは「話を聞く技術も必要だが、救急現場では時間を取りづらいのではないか」と話した。  両病院は昨年12月に連携を始め、安曇野赤十字に自殺を図った人が搬送され、依然として自殺の意志が感じられる場合は安曇総合に連絡。幅さんら同病院精神科の看護師が駆け付ける。手当てを終えた本人や家族から話を聞き、安曇総合の医師と相談して転院が必要かどうかなどを判断しているという。  常勤の精神科医がいない信州上田医療センター(上田市)も昨年12月から、自殺を図った人が救急搬送された場合は、3人いる精神保健福祉士が原則として全ての患者に関わるようにした。他の医療機関を紹介したり、経済的な問題がある場合は相談機関を助言したりしている。  それ以前も、再度自殺を図る危険性が高い患者は精神保健福祉士がケアに当たっていた。精神保健福祉士がケアする患者は年数人だったが、昨年12月以降はことし1月末までに計6人に上っている。  連携を呼び掛けた県精神保健福祉センター(長野市)によると、こうした取り組みの背景には、自殺を図る人の一部は失敗しても繰り返す実態がある。内閣府によると、2011年の県内の自殺者501人のうち、過去に自殺を図ったことがあったのは110人と22%に上った。  精神科医の村田志保・安曇総合病院副院長は「軽い自傷行為の患者でも根気よく支えなければならないが、救急現場では扱いが難しいので連携は重要」と指摘。県精神保健福祉センターの小泉典章所長は「県内では自殺未遂者のケアが進んでいなかった。総合病院の精神科医は減っており、負担を掛けすぎない工夫は必要だが、今後もこうした対策を進めたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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