岡谷市御倉町(おくらちょう)にある国重要文化財「旧林家住宅」で1日、ひな人形の展示が始まった。100年を超す歳月を刻んできた家屋独特のたたずまいと、華やかないでたちのひな人形による「伝統美の競演」が、見る人の心を和ませる。 1907(明治40)年に建てられた旧林家住宅は、明治時代に活躍した製糸家、林国蔵(くにぞう)の旧宅で、製糸のまち岡谷の隆盛を今に伝える。ひな人形は、市内の製糸業関係者らでつくるNPO法人シルク文化協会が2010年から毎年、桃の節句に合わせて飾り付けている。 今年、ひな壇を彩るのは、市立岡谷蚕糸博物館の所蔵品や市内の個人所有など約300体。能面のような顔立ちの「享保雛(きょうほうびな)」(江戸時代の作)や、松本市で作られた厚紙と布製の「押絵雛(おしえびな)」(明治~大正時代の作)など、素朴さを併せ持つ人形も目も引く。 「時代によって異なる顔や衣装を見比べてほしい」と、同協会理事の宮坂雄二さん(65)。入場は無料で、月曜日を除き17日まで展示している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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