県内有数の雪の多さで知られる下高井郡野沢温泉村が、太陽光発電普及の可能性を探る実験を始めた。野沢温泉中学校のベランダに、ほぼ垂直に太陽光パネルを取り付け、発電状況を調べる。屋根の上に設置すると雪でつぶれる恐れがあり、村内で普及していないため。実用化が可能と分かれば村民に導入を勧め、「野沢モデル」と銘打って全国の雪国にも紹介する考えだ。 同村中心部の積雪は例年2メートル前後。今冬は3メートルを超えた。村は「村民の多くは雪が多すぎる上、冬は曇りの日が多いので太陽光発電は無理だと思っている」と説明。同村や隣の飯山市は、太陽光パネルの設置補助制度を設けていない。 そんな状況の中、村は昨年、自然エネルギー活用策を専門家らと検討。費用対効果の面からも「雪国での設置は得策ではない」(駒ケ根市の太陽光パネルメーカー)とされるが、東日本大震災後に自然エネルギーへの関心が高まったこともあり、雪国には太陽光発電の望みが本当にないのか―を調べることにした。 村は雪が積もらないようパネルを垂直に置くことにし、周囲の雪にも埋もれない場所として同中学校2階の南向きのベランダを選んだ。縦約1・6メートル、横約0・8メートルのパネル24枚(最大出力4キロワット)を斜度75度で並べ、8月に調査を始めた。事業費約420万円は過疎債などを充てる。 8月は約403キロワット時、9月は約390キロワット時をそれぞれ発電。村担当職員の岸栄さんは「これからの季節は太陽が低くなるので、日光がパネルに当たりやすくなる。発電環境は良くなるはずだ」と期待。「効果が確認できれば、自宅にパネルを取り付ける人向けの補助制度をつくりたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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