信越総合通信局(長野市)は県内のケーブルテレビ(CATV)やコミュニティーFM、市町村などに呼び掛け、臨時災害放送局の開設準備を進める連絡会を月内に発足させる。CATVが新たに災害時のラジオ放送の担い手となることを期待。災害関連情報を提供する市町村との連携方法などを検討する。CATVによる臨時災害放送局の運営は全国的に例がなく、CATVの普及率が高い県内で先進モデルを築く考えだ。 同局によると、「防災減災への放送利用行動計画連絡会」(仮称)には、県内のCATV約20局と、コミュニティーFM7局の大半が参加の意向。臨時災害放送局の開設時の運営費負担などについて、市町村やCATVが検討する部会などを設ける。 連絡会では、既に同FMがある長野、佐久、飯田、諏訪、東御、安曇野各市と北佐久郡軽井沢町については、同FMが臨時災害放送局に移行できるように、臨時災害放送局の設置主体となる市町村との事前調整を進める方針。 同FMがなく、CATVがある地域は、事前に市町村とCATVが臨時災害放送局開設の協定を結び、災害関連情報を伝える自主放送のテレビ番組の音声をラジオ放送できるようにする。ラジオ放送用の仮設の設備は数百万円程度。複数のCATVが共同購入して県内4地区に配備し、災害時には各地区で被災地に運び込む方法などを想定する。来年1月にも実際の装置を使った訓練をする計画だ。 信越総合通信局の大橋秀行局長は「CATVのテレビ放送は災害時、停電やケーブルの破損で視聴できない可能性がある」と指摘。「普段から情報を集めて選別し、放送しているCATVのソフトとハードを(災害時のラジオ放送で)最大限生かす方法を考えたい」としている。 日本ケーブルテレビ連盟信越支部の丸山康照支部長(須高ケーブルテレビ社長)は「地域のコミュニティーメディアとして防災や減災は取り組まなければならないテーマ。しっかり検討したい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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