夏の諏訪湖で近年常態化している湖底の貧酸素状態を解消しようと、諏訪湖漁協は12日、「ナノバブル」と呼ばれる微小な気泡で水中に酸素を送り込む実験を、諏訪郡下諏訪町の県水産試験場諏訪支場の水槽で始めた。実験する水槽でフナやシジミを飼い、影響を約3カ月間調べた上で、来年5月にも湖での実験に移る計画だ。 ナノバブルは直径が1万分の1ミリと小さく、水中に長くとどまるため、効率よく酸素が行き渡るのが特長。液晶表示装置製造などを手掛ける企業エーシング(諏訪市沖田町)が自社開発したナノバブル発生装置を貸し出し、信大が酸素量などの調査に協力する。 実験は、直径5メートル、深さ80センチの円形水槽を二つ用意し、近くを流れる承知川から水を引く。比較のため一方は酸素供給装置を入れずに生物への影響を調べる。 この日は漁協組合員が、諏訪湖で捕ったフナ120匹ずつ、マシジミとヤマトシジミ計5キロずつを二つの水槽に放し、湖底の泥も入れた。泥の中にいてワカサギの餌になるユスリカの幼虫や微生物への影響も調べる。フナはさらに増やす予定だ。 今後は漁協と信大が週1回程度、フナなどの状態、水中の酸素量や汚れの変化を調べる。酸素量が安定し、生物の生存率が高まる効果が確認されれば、諏訪湖でも同じ実験に入る。漁協の藤森貫治組合長(68)は「良い結果を期待している」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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