北アルプスや松本市を舞台に山岳救助をめぐるドラマを描いた漫画「岳」の主人公「島崎三歩(さんぽ)」が13日、県山岳遭難防止対策協会(会長・阿部守一県知事)の特別隊員に就任した。東京で開かれた式典で、阿部知事が作者の石塚真一さん(41)=千葉県我孫子市=に任命状を手渡した。今後、遭難防止のPRキャラクターとしてポスターやチラシなどに掲載される。 石塚さんは「漫画を読んで山を始めた人がいるのはうれしい一方で、遭難事故も増え、責任を感じている。安全登山の役に立てるのはすごくうれしい」とあいさつ。漫画連載中に穂高連峰を登ったといい、「想像以上に険しく、長野県の山は気を引き締めて登らないといけないと思った」と話していた。 式典に出席した県遭対協理事で県山岳協会の宮本義彦会長は「三歩が仲間になるのは大歓迎。多くの登山者に山の安全を伝えられる」と喜んだ。 県が昨年に石塚さんと発行元の小学館(東京)に打診し、キャラクターの無償使用の許可を受けた。登山計画書の提出や自分の技量に合った登山をするなど具体的な注意点を示した三歩の「山登り10訓」を作り、チラシなどで登山者にPRしていく。 「岳」は2003年から12年まで、小学館のコミック誌で連載。映画化もされ、単行本の発行部数は累計450万部に上る。主人公の島崎三歩は、小諸市出身で長野県警の山岳遭難救助隊と一緒に活躍するボランティア救助隊員という設定。(長野県、信濃毎日新聞社)
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