松本市の柔道教室で2008年5月に当時小学6年の沢田武蔵君(16)=松本市波田=が投げられて重い障害が残り、長野検察審査会(検審)が投げ技をかけた元指導者の男性(40)を起訴すべきだと議決した事件で、県弁護士会は16日、長野地裁から検察官役の指定弁護士に選任された2弁護士の会見を県弁護士会館(長野市)で開いた。 2人はともに長野市の徳竹初男弁護士(57)、青木寛文弁護士(42)。起訴議決をした検審の審査補助員を務めた徳竹弁護士は今後の補充捜査が必要だとし、「関係者と接触し、5月中旬ごろには起訴したい」と述べた。青木弁護士は「議決の趣旨、被害者の思いを裁判に反映できるよう全力を尽くす」と述べた。 会見に同席した林一樹・県弁護士会会長によると、同会の10人程度でつくる「弁護士推薦委員会」が事件と利害関係がなく、刑事裁判に精通した2人を選んだという。公訴時効は5月26日に迫っており、林会長は「大変な激務。ただ、2人は県内で初めての重責を担うにふさわしい人物だ」と話した。 事故は松本市梓川の柔道教室で08年5月に発生。練習中に沢田君が投げられて意識を失い、急性硬膜下血腫で重い意識障害と全身まひが残った。松本署は業務上過失傷害容疑で元指導者を書類送検したが、長野地検は昨年4月「結果を予測することは難しかった」とし、嫌疑不十分で不起訴処分とした。同検審は昨年7月に「起訴相当」と議決したが、長野地検は再び不起訴処分にした。同検審は今月6日、事故の発生状況や被害者感情から不起訴処分を「妥当でない」とし、刑事責任を追及するべきだと結論付け、県内では初めての強制起訴につながる議決をした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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