安倍首相の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加表明に、県関係の野党国会議員の賛否は分かれた。 最大野党の民主党。篠原孝氏(衆院1区)は、会長を務める超党派グループ「TPPを慎重に考える会」のメンバーと、首相会見の中継を議員会館内で見つめた。「首相は憲法を米国に押しつけられ日本は惨めだと言ってきたが、TPPこそ米国ルールの押しつけ。そこへ自ら入るとはひどい矛盾」と指摘。18日の予算委で追及する考えだ。 寺島義幸氏(同3区)も「現時点ではTPPに賛成できない」と強調。「交渉入りを決めてから経済効果の試算を発表したのも理解できない」と批判した。党県連代表の北沢俊美氏(参院県区)も「非常に荒っぽい決断だ」とし、「個人的にはTPPに中立的だったが、交渉入りに危険性を感じる」とした。 羽田雄一郎氏(同)は「農業、医療、保険を守る担保もなく交渉に参加するならば国益を損なう懸念がある。今後も注視が必要だ」と指摘。津田弥太郎氏(参院比例)は「どんな農業支援策をするのか、政府の進め方を見ていく」。厚生労働政務官を務めた経験から「国民皆保険、皆年金は必ず守るべきだ」とした。 一方、元経済産業副大臣の柳沢光美氏(同)は「国民生活の安定、財政健全化のためにも、通商国家としてTPPに入るべきだ。日本の安全な農産物は海外の評価が高い。農業は輸出型に転換するべきだ」と推進姿勢を示した。 日本維新の会とみんなの党は、交渉参加推進の立場。維新の宮沢隆仁氏(衆院比例北陸信越)は交渉参加を「全面的に歓迎」とした上で「政府は交渉で得られる情報を基に影響を分析し、守るべきものは守ってほしい」と注文。百瀬智之氏(同)も「日本の国益にかなう」。ただ「交渉の中身を可能な限り国民に説明するよう求める」とした。みんなの井出庸生氏(同)は「時間がない中での表明だったのでは」と指摘。遅れた参加で不利になる可能性もあるが、「政府が交渉力を持って国益を守るしかない」とした。 県内政党では、共産党県委員会の今井誠委員長が「首相は農業をいかにも守れるかのように言うが、守るべきものを守れないのがTPPだ」と強調。参加表明の「撤回を求めたい」と主張した。社民党県連の竹内久幸代表は「農業のみならず医療や雇用などにも影響し、デフレの加速化を招く。コメなどが関税撤廃の例外となる保証もない。引き続き反対する」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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