伊那市創造館で16日、幕末から明治期に伊那谷を放浪した俳人井上井月(せいげつ)の命日(3月10日)にちなんだ「井月忌句会」が開かれた。同館は10日から井月の書などを常設展示しており、この日は展示室に置く井月像の除幕式もあった。
句会は井上井月顕彰会が主催し、上伊那地方の5人と東京などから迎えた若手4人の俳人が参加。約50人が見守る中、「井月忌」と入れた句と春の季語を入れた句を合わせて5句ずつ詠んだ。詠み手を伏せ、9人がそれぞれ気に入った5句を選び、点数を付けて講評。その後、作者が名乗り出た。
最高点は「燕(つばめ)来る縦に大きな信濃かな」。詠んだ西村麒麟(きりん)(本名・秀和)さん(29)は川崎市の会社員で、伊那市に住んでいた7年ほど前に井月に魅せられ、勉強会を開くなどしているという。「地位や名誉と無縁の自由な生きざまがかっこいい」と話した。
井月像は等身大の胸像でブロンズ製。作者で上伊那郡辰野町出身の彫刻家、瀬戸剛さん(68)=東京=は「見る人がそれぞれの井月をイメージしてほしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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「井月忌句会」県内外の俳人が集う 伊那市創造館
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