茅野市玉川の市運動公園に生息するニホンリスを車の事故から守るため、市が昨年9月末に歩道橋の下に設けた木の橋をリスが渡る姿が頻繁に見られるようになった。公園を管理する市教育委員会には、目撃情報とともに「餌にしてほしい」と大量の木の実の差し入れが市民から届いている。 リス専用の橋は、公園内を通る市道を挟んで南北に分かれる林を行き来する際に車にひかれて死ぬリスが多いことから、市民の要望を受けて設置した。歩道橋の下に幅約20センチの板を金具でつり下げた構造で、長さは約30メートルある。 市教委スポーツ健康課によると、橋を渡るリスが目撃されるようになったのは、ことし1月ごろから。通勤途中のドライバーや公園のリスを撮影するため通っている写真愛好家らが見つけ、同課に連絡してくる。午前8時前後が最も多いという。 公園の近くに住み、3年前からリスを撮っている写真愛好家の永田博さん(75)は2月14日午前、2匹が同時に橋を渡る姿を撮影した。林の中で追い掛けっこをしていた2匹に気付き、レンズを向けると、立ち木から橋に飛び移り、そのまま渡った。2匹同時の横断を見たのはこの時だけだが「1匹で渡るところは何度も見た」という。 撮影で年間200日以上公園に通う同市宮川の橘田(きった)利幸さん(69)も1月以降、橋を渡るリスをたびたび撮影。車にひかれるリスが多いことに胸を痛めていたが、「橋ができてから道路を横断するリスが減ったと感じる。効果はあるのではないか」と話す。橘田さんらによると、公園内には約20匹のニホンリスが生息しており、市街地の公園でこれだけの数が見られるのは珍しい。 公園のリスに対する市民の関心も高まり、同課には、山で拾ったドングリやクルミを「餌にしてほしい」と持ち込む人が相次いでいる。市民からオニグルミの木10本をリスのために寄贈したいという申し出も受け、4月に公園内に植樹する計画という。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧