県内の教職員らが加入する公立学校共済組合長野支部は22日、同支部が運営する宿泊施設「ホテル信濃路」(長野市)の支配人ら4人が2005~12年に計約2200万円を横領していたと発表した。同支部によると、4人のうちともに男性の50代の支配人と60代の事務次長が横領発覚後に自殺した。同支部は同日、残る2人を懲戒解雇するとともに、業務上横領容疑で長野中央署に刑事告訴した。 告訴されたのは、ともに管理営業課の大友栄・元管理係長(52)と小池徹也・元営業係長(41)。 同支部によると、昨年10月に匿名の告発文書が支部に寄せられて調査を開始。その結果、支配人が10年7月~12年5月に95回にわたり、宴会の売上金を計上しないなどの不正経理で計約1700万円を横領したことが判明した。その後、大友元係長が約100万円、小池元係長が約20万円、事務次長が約300万円をそれぞれ横領したことが分かったという。 同支部は、小池元係長がさらに80万円を横領した疑いがあるとしているが、本人は「記憶が曖昧」などと話しているという。横領した金はそれぞれ生活費や遊興費に使ったといい、全額、本人や遺族が弁済したという。 同支部によると、支配人は「売り上げが目標に達したので、翌月に回す」などと他の職員に指示し、売り上げを横領した。不正行為の疑いがあると認識しながら指示に従ったとして、同支部は22日、他の職員3人を減給10分の1(2~3カ月)の懲戒処分とした。 支配人は昨年12月に同支部付となった後、事務次長は今月上旬に、それぞれ自殺したといい、同支部はこの日の会見で「万一を考えて長時間の聞き取りを避け、複数人で対応してきたが、こうした結果になり残念」とした。 同支部は「(会計書類の)隠蔽(いんぺい)、職員のモラル低下などが複合的に絡んだ」とし、定期的な内部監査で不正を見抜けなかったと釈明。支部職員による会計処理の抜き打ち検査や内部通報システムの強化などで再発防止を図るとした。支部長の山口利幸・県教育長は「県民、組合員の信頼を裏切る結果となりおわびする。信頼回復に努めたい」と述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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