世界の優れた登山家に贈られる「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」に6日、ともに信州大学士山岳会所属で山岳ガイドの花谷(はなたに)泰広さん(36)=山梨県北杜市=と、松本広域森林組合職員の馬目弘仁(まのめひろよし)さん(44)=松本市=ら日本人3人の登山隊が選ばれた。フランスの山岳団体などが主催する同賞は登山界のアカデミー賞と呼ばれ、ことしで21回目。日本隊の受賞は4回目で、県関係の受賞者は今回の2人を含め計5人になった。 昨年の新ルート登山から72の登攀(とうはん)記録を選考対象とし、これらをあらかじめ六つに絞り込んでフランスのシャモニーで3日から最終審査をしていた。 高度な技術や開拓精神が審査の観点で、茨城県つくば市の青木達哉さん(28)を含む花谷さんらの隊は、昨年11月に成功したネパール・ヒマラヤ北東部のキャシャール(6770メートル)南リッジ(尾根)初登攀が評価された。海外の登山隊をはね返してきた難ルートだったが、3人は氷や雪が張り付いた垂直に近い岩壁を6日間で登り切った。 今回の審査には、2011年に同賞を受賞した信大学士山岳会の登山家横山勝丘(かつたか)さん(34)=北杜市=が審査員として参加。日本隊の他、英国2隊、フランス、ロシア、米国各1隊の計6隊に同賞を贈ることを決めた。 取材に、馬目さんは「6隊もの受賞にはびっくりしたが、素直にうれしい」、花谷さんは「6隊に選ばれて、さらに受賞できたのは光栄。ここから新しいクライミング人生が始まるという決意を抱かせてくれた」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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