塩尻市大門七番町の塩尻市役所地下部分で3月に起きた火災は、9日で発生から1カ月がたつ。塩尻署は放火の可能性が高いとみて調べているが、今のところ犯人に結び付く手掛かりは得られていない。一方、市は誰でも現場に出入り可能だったことを重く見て、地下通路入り口に鍵付きの扉を設け、防犯カメラも設置するなど、対応を強化した。松本市が夜間通用口に防犯カメラを設置するなど、近隣自治体にも警戒感が広がっている。 塩尻市役所の火災は、3月9日午前3時すぎに地下部分での出火に気付いた警備員が通報。灯油タンクの下にあったプラスチック製コンテナと、タンクから約20メートル離れた場所にあった立て看板や紙類などを焼いた。 同署の調べで、灯油タンクの栓が緩んでいたことが判明。同署は、周辺住民や通行人など数百人を対象に不審な人物の目撃情報などの聞き込みをし、市の課長級職員にも市への苦情やトラブルについて事情を聴いた。だが、同署の伊藤聡志副署長は、火が出た現場について「誰でも入ることができるため、(犯人を)絞り込むのが難しい」と話している。 市は火災の被害額を97万円と算出する一方、防犯カメラ設置などに計120万円を掛けた。平間正治総務部長は「夜間の出入りを制限するため、地下部分にさらに開閉式の鉄製扉を設置したい」としている。 同市役所の火災を受け、松本市は市役所本庁舎の夜間通用口に防犯カメラ1台を設置。安曇野市は、庁舎外にある灯油タンクの栓を施錠し、職員以外は使用できない仕組みにするなどした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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