野沢南高校(佐久市)が全日制創立100周年と定時制60周年の記念事業で修復していたドイツの「ベヒシュタイン」社製のグランドピアノが完了して戻り、同校の同窓会館で11日、披露コンサートが開かれた。1925(大正14)年に購入した貴重なピアノの修理には、同校卒業生でドイツを拠点に活躍するメゾソプラノ歌手白井光子さんらが費用を寄付。この日は白井さんも来校し、復活したピアノの伴奏で歌った他、最後に生徒も校歌を歌った。 白井さんはピアニストのハルトムート・ヘルさんと十数曲を披露。「このピアノは昔弾いたことがあり、懐かしい」と振り返った。ヘルさんも「明るくてはっきりした音が出る」。生徒の校歌合唱を聞いた白井さんは「良い歌声でした」と笑顔だった。 同校は創立15周年記念でこのピアノを購入。同校の資料などによると、同社製ピアノは当時全国に数台だったという。今回の記念事業の準備を進めていた同窓会長の中島瑞枝さん(71)=佐久市平賀=が、70周年時の記念誌にピアノの記述を発見。音楽室の隅に使われずに置かれていることが分かった。ピアノは色あせ、一部の弦が切れていた。 2011年の100周年に同校を訪れた白井さんが話を聞き修理費用を寄付。実行委が卒業生らから募った寄付と合わせて約240万円を集めて昨年7月に修理に出した。 修理を終えたピアノがことし2月に同校へ戻ったことから、ピアノの本来の音を生徒に聞いてもらいたいと、同校と同窓会が企画。3年の有井歩さん(17)は「透き通るような音で、最高の時間でした」と興奮気味に話した。 6月8日には、このピアノをリレーで弾くコンサートを予定。演奏希望者を5月15日まで募集している。問い合わせは同窓会事務局(電話0267・63・6646)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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