夜間の子どもの急な発病やけがの対処法などの相談に電話で応じる県の小児救急電話相談「♯(シャープ)8000」に2011年度寄せられた相談は、前年度比11・7%増の4935件で、06年度の事業開始以降5年連続で過去最多を更新したことが16日、県のまとめで分かった。同事業が浸透しつつある他、子育てに関する相談窓口的役割も果たしているようだ。 相談は06年度(12月から4カ月)の343件、07年度1132件となり、09年度に4千件を超えた=グラフ。 昨年度の相談の内訳(相談1件に複数の内容が含まれる場合、各1件として計算)は「発熱」が最も多く、1804件。「嘔吐(おうと)」が586件、「せき」が350件、「発疹」が294件、「下痢」が269件と続く。相談への対応は、様子を見て昼間にかかりつけ医に行くよう勧めたケースが多く、119番通報や当番医での受診を勧めたケースは全体の1割弱。県医療推進課は、激務とされる大病院の小児科医の負担軽減につながっているとみている。 一方、病気ではなく育児に関する相談など「その他」が1381件に上った。運営を受託している、小児科医や看護師らのNPO法人「e―MADO(イーマド)」(松本市)の滝沢正臣事務局長(76)は「最初は病気の話でも、家庭や子育ての話に及び、1件当たりの相談時間は長くなる傾向にある」と説明。「育児の不安やストレスについて身近に相談できる人がいない人が多いのではないか」とみている。 電話相談事業は、緊急性の低い受診を減らし、小児科医不足の一因となっている激務の軽減につなげようと04年度に国が創設。県内では、06年度から相談受け付けが始まった。県内は年中無休で、受け付けは午後7~11時。小児科勤務経験のある看護師ら約30人が、1日2人態勢で交代で相談に応じている。必要に応じて信大病院(松本市)の救急当直医、薬剤師らが支援する。電話番号は♯8000、0263・34・8000で、携帯電話でも利用できる。(長野県、信濃毎日新聞社)
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