飯田下伊那地方の特産として、知名度が高まっている干し柿「市田柿」の加工から出荷までを担う「市田柿工房」が下伊那郡高森町下市田に完成し、18日に現地で式典が開かれた。みなみ信州農協(飯田市)が同町から借り受けた土地に建設した。柿の実の大型乾燥機を導入するなど、市田柿生産の機械化を進めたのが特徴。農家の高齢化などに対応するほか、観光面の機能も持たせていく考えだ。 式には農協関係者や市田柿生産者、建設業者など約150人が出席。テープカットなどの後、同農協組合長の矢沢輝海さん(69)が「全国に名をとどろかせる市田柿を農協の柱にしたいと思い建設した。生産者らと手を結び、有効に使いたい」とあいさつした。 工房は、町が県から購入した旧県南信農業試験場の土地約3ヘクタールに建てられた。鉄骨平屋約4600平方メートル。1回に柿の実2・8トンを処理できる大型乾燥機10台を導入。自然乾燥で約1カ月かかる工程を4~5日程度に短縮できる。通年販売に向けた冷凍設備なども備えた。事業費は約11億9100万円。 工房前の農地では柿の木を育て、栽培技術の研究をするほか、もぎ取りなどの観光にも利用していく。 同農協柿課によると、同農協に市田柿を出荷している農家は約2500戸、昨年度の出荷量は約1470トンだった。ことし10月に本格稼働する工房では本年度、生柿150トンを加工し、農家の生産分を含めた約250トンの市田柿を流通させる予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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